Project/Area Number |
08F08512
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Breeding science
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
呉 健忠 (2009) National Institute of Agrobiological Sciences, 植物ゲノム研究ユニット, 主任研究員
ダンカン ヴォーン (2008) National Institute of Agrobiological Sciences, ジーンバンク, 上級研究員
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHU Zuofeng 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物ゲノム研究ユニット, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2008 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2009: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 脱粒性 / 栽培イネ起源 / 塩基多様度 / ゲノム進化 / 自然変異 / 祖先種野生イネ / 塩基配列多様性 / 突然変異 |
Research Abstract |
脱粒性の減少または喪失は作物の栽培化の初期過程において最も重要な過程の一つである。近年の遺伝解析によって、イネの種子の脱粒性は複数の量的遺伝子(QTL)によって制御されていることが分かった。昨年度まで、作用力の最も大きい脱粒性遺伝子SH4(別名SHA1)領域の塩基配列の変異状況について一部の栽培品種及び祖先野生種系統(当所、または国立遺伝研が保有するコアコレクション)を用いて行った試験調査の結果、祖先野生種において、塩基配列が多様化しているのに対しで、アジア栽培イネにおいては、エクソン領域全ての塩基配列が完全に保存されていたことを明らかした。また、栽培イネ及び祖先野生種イネ集団間における周辺領域の塩基多様度(個々の発現遺伝子のイントロン部分)の比較では、SH4遺伝子を含むアジア栽培イネ染色体の約300kbの領域(特に下流側)が栽培化により強い選抜(selective sweep)を受けたことを示唆した。本年度は、栽培イネのSH4遺伝子のエクソン領域に起きた1塩基の非脱粒性突然変異の発生及び獲得(栽培化による選抜)過程(場所、時期)を分子生物学観点からより詳細に探って行くため、新たに入手した国際イネ研究所が保有する栽培イネ(62品種)及び祖先野生種イネ系統(15系統)を用いて、レトロポゾンやレトロトランスポゾンのマーカーによる系統樹解析及び鎧遺伝子と周辺領域の塩基配列の解読を重点的に進めてきた。得られた主な実績は次の通りである。1)集団遺伝解析の結果、5班遺伝子領域の塩基多様度の98%が野生種から栽培イネへの過程で既に喪失し、この遺伝子のアジアイネ栽培化過程及びゲノム進化に関る役割を分子生物学レベルで明らかにした。2)SH4遺伝子のハプロタイプ解析により、栽培イネと遺伝的に最も近い関係を示す野生種イネ6系統が発見され、周辺領域の塩基配列を比較した結果、SH4遺伝子の非脱粒性アリルは中国起源の野生イネに生じた自然変異で、初期の栽培化過程で人為的に選抜され昔の日本型イネに固定された後、交配などによってインド型イネに導入されたと推定でき、アシア栽培イネにおける多起源説を強く支持した。3)非脱粒性アリルにおける選抜の結果がアシア栽培イネ集団に対して、SH4遺伝子の周辺に少なくとも375kbのゲノム領域に遺伝的多様性の抑制をもたらし、将来における品種改良に重要なヒントを与えることができた。4)東南アジアの野生イネ系統から非脱粒性型のSH4遺伝子が検出され、栽培イネとの自然交雑による雑草化が現在も進んでいると思われた一方、雑草化したイネからは脱粒性型のSH4遺伝子も観察され、この地域のイネ直播地帯で収量減少に繋がる大きな原因の一つと考えられた。
|