カゴ状構造における充填イオン運動が関与する電子相関特性の研究
Project/Area Number |
08F08728
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Biophysics/Chemical physics
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩佐 和晃 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAULHE C.D 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2009: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 電子-格子相互作用 / p-f混成 / フォノン / 中性子散乱 / X線散乱 |
Research Abstract |
電子がもつ自由度であるスピン・軌道・電荷が多数存在する物質では、それら自由度の複合的な変化のために、磁性や電気伝導性の温度依存性などを伴う多彩な相転移を示す。そこに、物質を構成するイオンの振動の効果が加わることにより、その多様さが増すこともよく知られている。特に、最近注目されているカゴ状の骨格格子を持つ中に充填されたイオンの巨大な振幅での振動が新しい電子状態をもたらすものと期待され、その観点からの研究を行った。H21年度において以下の成果を得た。 硼素Bの共有結合ネットワークに希土類イオンRが充填された構造を持つRB_6は、硼素のカゴ状格子とそこに充填されたとRイオンからなると見なされる。特に、GdB_6ではGdイオンの熱振動振幅が他のRB_6に比べて大きいことが知られている。これまでの研究によって、結晶構造相転移を伴う磁気秩序相転移以上の温度で、その構造の周期に対応するフォノンのエネルギーが他のRB_6に比べて極めて低く、低温に向かってエネルギーがさらに低下することを見出していた。この結果をさらに精密に検証する放射光X線非弾性散乱実験を行った。その結果、低エネルギー化が再検証でき、Gdイオンの磁気モーメント間の相互作用が原子間距離を変化させるフォノンモードによって変調されることが示唆された。さらに、あるフォノンには伝導電子の効果によると理解できる特異な分散関係が表れた。これらの起源を探る目的で、金属かつ反強磁性体であるGdB_6とは対照的な、非金属性かつ磁気自由度を持たないとされるYbB_6のフォノンを中性子非弾性散乱で調べた。その結果、GdB_6での顕著な低エネルギーモードや分散関係は見られず、GdB_6での特徴的なフォノンモードには金属伝導と局在電子磁性が大きく関わることを明らかにした。なお、この成果発表を格子振動に関する国際会議PHONONS2010(2010年4月開催)に申し込み、口頭講演に選抜された。
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Report
(2 results)
Research Products
(28 results)