Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2009: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,実験室での原子核反応で実現される核物質や超新星爆発などの天体現象において実現される核物質の動力学と熱力学を,核子をフェルミ粒子として正しく扱う分子動力学法(FMD,AMD)を用いて統一的に研究することである.とりわけ核物質や原子核の圧縮・膨張は,様々な密度の核物質の状態方程式と関運する重要な現象である.そこで,平成22年度は,平成21年度に引き続き,原子核の圧縮・膨張の集団運動である単極子振動に集中して取り組んだ. 有効相互作用に対応する圧縮率が,一般的な平均場計算と同様に,振動数に反映されることを確認した.また,通常研究されている微小振幅に限らず,様々な振幅の振動を調べた.その結果,基底状態の構造がクラスター的かシェル模型的かによって特異な振幅依存性が現れる場合があることがわかった.その原因を日本側の研究者(Hasnaoui,小野章)とフランス側の研究者(古田琢哉,F.Gulminelli)と議論しながら調査する過程で,特に平成22年度には,^<12>Cや^<24>Mgのような軽い核の振動モードがクラスター自由度と強く結合しているのではないかという着想が得られ,それを主題として論文にまとめた[Physical Review C 82, 034307 (2010)].この結果は波束の幅を固定しクラスター相関をよく記述するAMDによるものだが,波束幅が変動することを考慮するFMDの計算の場合には,クラスター的な振動モードと通常の圧縮膨張モードの両方が現れることが確認された. さらに,対称エネルギーの密度依存性と集団運動の関連を解明するために,陽子中性子比の異なる原子核の圧縮膨張運動の計算も開始した.今後,結果の分析と解釈が必要である.
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