Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本年度は前年度までに終えた資料収集を承けて,実際に各論点を統一的な視点から組織立てることに集中した.その結果,これまで用いてきた「芸術」「様式」「装飾」「職業」「機能」という5つの"境界線"を再編した.すなわち,建築における「芸術」概念の帰趨という視点で全体を貫くことにし,分離派とその対抗論陣との見解のやりとりを対象として限定することにした,その結果,分離派発足以前から引き継がれた建築における「芸術」概念の位置づけをめぐる論争,分離派発足以降彼らが展開した「様式」概念を用いた「芸術」概念の書き換え,分離派の活動停止に至るまでの「職能」「機能」などの概念を通じた「芸術」概念の溶解,という3フェーズで分離派建築会の8年間の言論活動を整理し,理論面から全体像を彫り出すことができた.これと並行し,北京で開かれた国際美学会議において,中国に設定されたドイツ植民地における都市計画と建築が,日本の建築運動である分離派建築会に影響を与えたことを紹介した.この記録は次年度に北京において論文誌として発行される予定であるが,日本語の論考は國學院雑誌に投稿した.五十嵐太郎氏の編著においては秋葉原の都市的な変貌を扱った書,日本近代建築を思想として扱った大著,皇居前広場をめぐる歴史的経緯を記述した著書などを紹介した,また表象文化論学会においては,大会での建築をテーマとしたパネルディスカッションの報告,商業誌では東京の文化財建築に関する記事,2010年を振り返る企画における建築・美学関連書籍の紹介を行った.
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