Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
申請者はすでに層状ペロフスカイト物質を用いたイオン交換法によって一連の正方格子量子スピン系(CuBr)A2B3010(A=Ca,Sr,Ba,Pb;B=Nb,Ta)の合成に成功しており,1/3磁化プラトーの安定性を化学置換によって制御出来ることを報告している.今年度は,S=1/2の次に量子揺らぎが強いと期待されるS=1の合成に取り組んだ.様々な反応を試みた結果,初めてのS=1物質(NiCl)Sr2Ta3010の合成に成功した.比熱測定の結果20Kに磁気秩序を示唆する異常が観測された,この相転移の起源が磁気的かどうかを調べるためにmuon施設でmSR測定を行なったところ,磁気秩序は比熱測定で観測された温度より高い温度,50Kから生じていることがわかった.mSRスペクトルの解析により,20Kと50Kで逐次的に相転移を生じていること,さらに中間相において磁気秩序成分と無秩序成分の共存を示唆する興味深い磁気秩序過程を見出した.この起源については現在検討中であるが,スピンフラストレーションが絡んだ現象であると考えている. 申請者は世界に先駆けて,鉄が平面4配位をもつ新しい鉄酸化物SrFeO2の合成に成功している,SrFeO2はFeO2面がSr面と交互に積層した二次元構造をもっているにも関わらず,200度に達する高い反強磁性温度をもつ.今年度は,SrFeO2の隠された物性を探するため,DACを用いた高圧下X線メスバウアー,電気抵抗測定を行なった.その結果,30GPa付近で格子定数に大きな変化が現われると同時に,反強磁性絶縁体状態が強磁性メタリック状態(ハーフメタル)へ相転移することを見出した.この結果は平面4配位でスピン転移を起こした初めての例であり,また鉄元素のみを磁性イオンとして含む酸化物ではじめて強磁性を示した例として大変興味深い.
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