脱皮ホルモンEcdysteroidによるマダニの卵形成機構の解明
Project/Area Number |
08J00181
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Applied entomology
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀金 麻理 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2008 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | エクジステロイド / ヴィテロジェニン / マダニ / 卵黄形成 / 吸血 / E75 / Ecdysteroid初期遺伝子 / Ecdysteroid receptor / Retinoid X receptor |
Research Abstract |
マダニは家畜を含む哺乳類から吸血し、時に宿主に病気を媒介するため畜産業を中心に世界的に大きな問題となっている。吸血はマダニの唯一の栄養摂取行為であり、従来から吸血とそれに誘導される生理現象の研究が行われている。中でも吸血によって誘導される卵黄タンパク質(Vg)合成については古くから研究がなされ、脱皮ホルモン(E)に制御されると考えられている。本研究はEによるマダニの卵黄形成制御機構に焦点を当てた。 昨年度にマダニOrnithodoros moubataのVg遺伝子を同定し、その制御領域の解析からVg転写制御にはEとその受容体複合体(E/EcR/RXR複合体)による制御に加え、Eによって転写制御されるE初期遺伝子の関与が疑われた。本年度は初期遺伝子のうちE75について部分配列を同定し、Vg発現時にE75の発現が確認された。また、E投与によるVg転写についても検証し、生体内に近い濃度でVg発現が維持されることが明らかになった。 さらに吸血後の交尾・未交尾雌におけるVg発現の詳細な解析から、マダニのVg転写はEのみならず栄養によっても制御される可能性が示唆された。Vg発現を詳細に比較すると、産卵開始までの時期におけるVg転写発現は交尾・未交尾雌でよく似ており、その差が大きくなるのは産卵開始後であることが明らかになった。また吸血後の未交尾雌を交尾させた場合、交尾直後にVg発現が上昇した。吸血後でもE濃度が低い未交尾雌において、初期の段階でVg転写が誘導されたことから、第一に栄養摂取によってVg転写が誘導され、その後交尾の刺激によって合成・分泌されるEがさらなる転写を誘導するという、2段階の制御系が存在する可能性が明らかになった。この制御は他の節足動物でも存在が疑われるものであり、今後発展してゆく基礎的なモデルを確立したと考えられる。
|
Report
(2 results)
Research Products
(9 results)