キラル発光性錯体分子集合体の創製および複合物性の制御とスイッチング
Project/Area Number |
08J00259
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 素志 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ルテニウム(II)イオン / オスミウム(II)イオン / 含硫配位子 / 連結異性化 / キラリティー / 光反応 |
Research Abstract |
キラル発光性錯体集合体の構築を目的として、脂肪族アミノチオール類をもつ発光性のRuおよびOs錯体の開発を行ってきた。これまでに2-アミノエタンチオール(Haet)をもつRuおよびOs錯体を合成している。さらに、含硫アミノ酸の1つであるD-ペニシラミン(D-H_2pen)がRu^<II>中心にO,Sキレート配位したRuAgRu三核錯体を合成し、その光学活性体の単離にも成功している。今年度は、これまでに得られているRu錯体から新たに誘導体を合成し、その発光性の検討を行った。また、D-HpenをもつOs錯体の合成についても検討した。 1、D-HpenをもつRuAgRu三核錯体からチオラト基が酸化されたスルフィナト単核錯体[Ru (D-Hpsi-O,S)(bpy)_2]^+(psi=penicillaminesulfinate, bpy=bipyridine)を合成し、その異性体(Δ_D体とΛ_D体)をそれぞれ単離した。これら錯体の発光測定を行ったところ、両異性体はいずれも室温溶液中にて同じ波長に発光極大を示した。しかし、発光量子収率および発光寿命はΔ体に比べてΛ体のほうが約2倍大きい値を示した。以上より、ジアステレオマー間の構造の違いが無幅射失活過程に影響を及ぼすことを明らかにした。 2、[Os (bpy)_2Cl_2]とD-H_2penとの反応から、新規スルフィナト錯体[Os (D-Hpsi-O,S)(bpy)_2]^+を合成し、その光学活性体(Δ_D体とΛ_D体)の単離にも成功した。得られたD-HpsiがO,Sキレート配位したRuおよびOs錯体の水溶液を加熱環流したところ、Ru錯体のΔ_D体の場合には、D-HpsiがO,SからN,S-キレート配位へと変化したスルフィナト錯体、Δ_D-[Ru (D-Hpsi-N,S)(bpy)_2]^+、が形成された。一方、Ru錯体のΛ_D体およびOs錯体のΔ_D体とΛ_D体については、同条件下でこのような異性化は観測されなかった。このことから、ジアステレオマー間の僅かな構造の違いや金属の置換活性の違いが異性化挙動に大きな影響を与えることが分かった。 以上より、本研究では脂肪族アミノチオレートのRu^<II>およびOs^<II>中心に対する配位挙動を明らかにするとともに、形成されるRu^<II>およびOs^<II>錯体の諸性質を明らかにした。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)