外来性および内在性ウイルスに対する哺乳類APOBEC1の自然防御機構の解析
Project/Area Number |
08J00694
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Virology
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
池田 輝政 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | APOBEC1 / 抗レトロウイルス活性 / 自然免疫機構 / 内在性レトロエレメント / 抗レトロエレメント活性 / 脱アミノ化 / HIV-1 / HIV-1感染小動物モデル |
Research Abstract |
近年、シチジン脱アミノ化酵素APOBEC3(A3)が、主にDNA mutator活性により抗レトロウイルス宿主因子として機能することが明らかにされつつある。一方で、APOBEC1(A1)に関しては、その抗レトロウイルス活性については、あまり明らかにされていなかった。そこで我々は、昨年度、A1がHIV-1だけでなく、SIVmac、SIVagm、FIVなどのレンチウイルスやMLV、HTLV-1などのオンコウイルスに対しても抑制活性をもつことを明らかにした。これらの結果は、哺乳動物、特に小動物においてはA1がレトロウイルスを制御する自然免疫機構として機能している可能性を示唆し、A3と同様に、内在性のレトロエレメントに対する抑制活性をもつことも考えられたので、本年度はそれらのエレメントに対するA1の抑制活性およびそのメカニズムについて解析を行った。 まず初めに、A1が非LTR型のレトロトランスポゾンであるLINE-1(L1)に対して抑制活性をもつことを示した。また、ウサギA1脱アミノ化変異体(E63Q、N57A)を用いて解析した結果、これらの変異体では野生型と同レベルの抗L1活性を示したので、A1は脱アミノ化非依存的に抗L1活性を示すことが示唆された。次に、野生型ラットおよびウサギA1と、野生型と比べ異常な細胞内局在を示す、ラットおよびウサギA1 P29T変異体を用いてL1への抑制活性を調べたところ、変異体は野生株と同レベルの抗L1活性を示した。この結果は、A1の細胞内局在が抗L1活性に影響していないことを示唆する。さらに、宿主ゲノム中のL1のコピー数はウサギA1野生型、E63Q、N57A、P29T全てで減少していたので、A1は脱アミノ化非依存的に、L1ゲノムが宿主ゲノムに挿入される前の段階で、L1の複製を阻害していると考えられる。一方で、LTR型のレトロトランスポゾンであるIAPやMusDを抑制するためには、A1の脱アミノ化活性は必要であることが明らかとなった。これらの結果は、多くの哺乳類でA1分子が、宿主細胞に備わる広範な抗レトロエレメント制御機構として機能している可能性を示唆している。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)