近赤外線偏光観測による銀河系中心部の磁場構造の解明
Project/Area Number |
08J00868
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Astronomy
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 正吾 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 赤外線天文学 / 磁場 / 宇宙塵 / 光学赤外線天文学 / 偏光 / 銀河系 / 星間塵 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近赤外線偏光観測による、銀河系の中心領域の磁場構造の解明である。1,2年目では、南アフリカ天文台において観測を行い、必要なデータを取得した。また途中経過として、この手法による磁場測定が有効であることを明らかにした(Nishiyama et al. ApJ, 2009, 690, 1648)。 最終年度である22年度には、これまで蓄積したデータ(中心領域2度×2度)の解析を行い、磁場構造を導き出した。またこの結果を論文として発表することもできた(Nishiyama et al. ApJL, 2010, 722, 23)。 本研究から、銀河系中心領域の磁場構造は、銀河面に垂直な向き(ポロイダル構造)から平行方向(トロイダル構造)へ、大局的に変化していることが分かった。銀河面に近い領域では、銀河中心を周回する分子雲によって磁場が引きずられるため、渦巻状のトロイダル磁場となる。一方、物質の少ない、銀河面から離れた領域では、磁場の形状は変化することなく、ポロイダル磁場が維持されている。つまり、もともと銀河の中の磁場はポロイダル形状であったが、銀河の進化に伴い、銀河面近くではトロイダル磁場が卓越するようになった、と考えることができる。 この研究は、銀河系中心における広い領域(2度)の磁場構造"全体"を、高い空間分解能(2分)で明らかにする初めての試みであった。過去の観測では所々しかうめられていなかったパズルの全体像を、本研究で初めて明らかにした。 また、他の渦巻銀河の観測から、銀河円盤内の磁場はトロイダル、銀河ハローではポロイダルに近い構造、ということが知られていた。しかし、これらふたつの構造がどうつながっているのかは謎であった。本研究により、銀河内の磁場構造の遷移領域が明らかになった。銀河全体の磁場に対する理解が大きく深まった研究成果であると言える。
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Report
(3 results)
Research Products
(28 results)