ムラの暮らしの構造と人間形成の研究―現代絵農書の成立と社会的受容の分析を通して―
Project/Area Number |
08J01087
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Agro-economics
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
清水 ゆかり University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員DC2
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 現代絵農書 / 農村表象 / 近代農村の再評価 / 歴史資料 / 絵画資料 / 高度経済成長 / ムラの暮らし / 子育て / 暮らし / 人間形成 / 自分史 / 記憶 / ムラ / 伝承 |
Research Abstract |
本研究は、近代化以前の日本農村における農民、特に子どもの人間形成をムラの暮らしの構造と関わらせて解明することを課題とした。近代農村における子どもの日常生活は文字史料に記録されにくいため、本研究では近代農村の暮らしの全体像を回想によって記録した絵画資料「現代絵農書」を主要資料として調査収集し、その描写内容を分析した。加えて、現代絵農書の成立過程や現代の地域社会における現代絵農書の利活用など、歴史資料としての現代絵農書の側面を検討し、従来の農業史や村落研究の方法論に対する問題提起とした。 現代絵農書は1960年代以降、高度経済成長に伴う暮らしの変貌を契機として、各地域の伝統的な暮らしを後世に伝承すべく制作された。生業や家族生活、子どもの遊び、年中行事など幅広い内容を持つ。その近代農村表象は、必要な事物を自らの手で作り出し暮らしを成り立たせる農民の創造性や、子どもの成長を支える重層的な人間関係や豊富な実体験、自然の豊かさなどを再評価する視点から描かれていた。制作時における現代絵農書は、制作者個人による近代農村の解釈にすぎないが、描写対象地域における出版や原画展などを通して社会化され、その内容の客観性を検証されることによって地域独自の歴史資料として認められていた。客観性を検証された現代絵農書は、社会科教育の資料などとして採用されている。現代絵農書における近代農村表象は、子育ての問題や環境問題など、現代農村が抱える多様な矛盾との比較により構築された「鏡」である。それと同時に、現代絵農書は描写対象地域独自の歴史資料として、世代を超えて地域の歴史を伝承するコミュニケーションツールとしての役割を担っていることが明らかとなった。 本研究の成果は学位請求論文「現代絵農書の成立とその意味-戦後日本の社会変動と近代農村の再評価-」にまとめた。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)