Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本研究では,高精度な気泡径制御が可能な気泡発生装置を用い,電解溶液中のイオン濃度やイオンの種類,さらに気泡径を様々に変化させたときの気泡の合体・反発条件を実験的に調査した.実験では,超純水,塩化ナトリウム,塩化カリウム水溶液中における単一上昇気泡と自由表面との合体・反発を観察した.塩化ナトリウムの添加により,気泡と自由表面との最大反発回数は顕著に増加した.このことから,電解質の添加により気泡間の合体が抑制されることが示された.また,気泡と自由表面との合体・反発の境界は気泡前方の曲率半径,接近速度を用いたウェーバー数で整理でき,水溶液の濃度の増加とともに,合体・反発の境界となる臨界ウェーバー数は減少することが明らかとなった.これは,電解質の添加による効果がウェーバー数という流体力学的なパラメータによって整理できる,すなわち衝突直前の流体力学的メカニズムが重要であることを表しており,電解質の添加が気泡の合体におよぼす影響を考察する上で重要な知見である.さらに本研究では,電解質の添加とWe数の減少との関連性をより具体的に明らかにするため,気泡が自由界面に接近したときの気泡,自由界面の挙動のモデル化を試みた.単一上昇気泡と自由界面との反発の観察とモデル化では,気泡と自由界面をそれぞれ線形バネと仮定し,単純な質点-バネ系の運動方程式を用いて,気泡の反発現象を記述した.実験結果との比較により,本モデルは,気泡の反発過程を良く表すことが示された.モデルと実験結果との比較から,気泡径が小さい場合において,気泡と自由界面の変形は共に重要な因子である一方,気泡径が大きい場合は,気泡の変形は非常に小さく自由界面の変形が現象を支配している重要なパラメータであることが明らかとなりた.このモデル化は現在のところ流体力学的因子のみを考慮するに留まるが,今後,電解質の添加による臨界We数の減少も考慮に入れることで,電解質の合体抑制効果をモデル化できると期待される.
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