Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2010: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Research Abstract |
本年度の研究から、映像内容の文脈的な変化によってその前後の時間知覚が変化することが明らかになった。実験では,日常環境の映像を呈示する間に,別の刺激を瞬間呈示(フラッシュ)した。その結果,映像中の文脈的な場面転換の境界の前後に呈示したフラッシュは,文脈的な分節場面に同期して知覚されることが明らかになった。音声言語の先行研究では,短い音刺激をスピーチに挿入すると,音刺激がスピーチの言語的分節に同期して知覚されることが報告され,その特性から,音声が分節的に知覚されていると考えられている。フラッシュの分節同期効果は,こうした音声言語の聴覚特性と同じ性質の視覚特性であり,映像が音声と同様に分節的に知覚されていると示唆された。一方,文脈の分節的な知覚は,逆再生映像などの不自然な映像変化や,未学習の映像変化に対しては見られなかった。このことから,映像の分節的な知覚は,内容の学習や経験による理解を反映していると考えられる。本研究成果は、国際学術雑誌に原著論文として掲載された。 さらに,映像中の各場面の認知について研究を行った。その結果,新規の映像の文脈的な分節の境界場面では,場面の知覚精度に有意な変化はないが記憶精度が特異的に向上することがわかった。一方,既知の映像の分節境界場面では知覚精度が特異的に向上し,記憶精度に影響は見られなかった。このことから,映像内容の学習過程には,分節境界場面の記憶が関係し,映像構造の分節的な記憶を用いて,既知の映像の文脈を予測的に分節化して知覚しているという,映像の時間的変化とその学習過程の認知モデルを提案した。本研究成果は、国際学術雑誌に原著論文として掲載された。
|