政治的公共性と「実存」-ハンナ・アーレントにおける思想生成の構造-
Project/Area Number |
08J01279
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of thought
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 陽子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2008 – 2010
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
|
Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2010: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Keywords | ハンナ・アーレント / 実存哲学 / 公的空間 / 他者存在 / 『人間の条件』 / 複数性 / 哲学すること / セイレン・キルケゴール / 全体主義 / 実存 / 政治的公共空間 / 国際情報交換 / 日本:中国:韓国:台湾 |
Research Abstract |
ハンナ・アーレントの1920年代から1958年までの論考が、その後の著作に重要な影響を与えていることを論証するため、当該期間に著された論考の原文による読解をおこなった。今年度は主として『全体主義の起源』、草稿である『カール・マルクスと西欧政治思想の伝統』と、同じく草稿である『政治の約束』の前半部を中心的に読み解くことで、アーレントの思想が、『人間の条件』執筆以前に完成された形で提示されていたことを論証することができた。 1920年代のアーレントの思想から、連綿と受け継がれてきた「実存哲学」思想が、『人間の条件』以前までの論考の中に主軸として発展させられていたことを確認した。従来の研究ではこのアーレントの「実存哲学」思想には、全体主義につながる契機となるのではないかとするマーティン・ジェイを代表とする指摘を受け、重要視されることはなかった。しかし、この「実存哲学」こそが、アーレントの人間の『複数性』と「個別性」とを訴えかける貴重な契機となっていることが了解されたのである。 この成果をもとに、前年度までに学会報告等において知り合うことができた、国内の他のアーレント研究者の協力を求めて話し合うことで、より多面的な見地から、意見を伺うことができた。また、1920年代から1930年代にかけてのアーレントの思想を改めて追う中で、「公的空間」における「創造の契機」こそが、アーレントにとって最も重要であったことを再確認した。このことは、アーレントの「公的空間」が、その中での問題解決を最初から見込んでいるものではないとする、思想射程を明確化する機会ともなった。 上述してきた研究成果を、発展させ、アーレントの思想における「他者存在」と「政治的公共空間」とがどのようにその思想の中核となっていったかを明確化した上で、博士論文の執筆を行った。
|
Report
(3 results)
Research Products
(8 results)
-
-
[Journal Article]2009
Author(s)
長谷川晃, 旗手俊彦, 町村泰貴, 綾部六郎, 住吉雅美, 大野達司, 森元拓, 菅原寧格, 長谷川陽子, 井上匡子, 高田慎二, 今井弘道
-
Journal Title
公共空間における個の自律-今井弘道先生退職記念論集-(風行社)
Pages: 2241-271
Related Report
-
-
-
-
-
-