Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
合成小分子であるPy-ImポリアミドはDNAの塩基配列を読んで結合することができる。当研究室ではDNAの配列を認識した上に、強く反応できるようアルキル化剤と組み合わせた分子の合成と生化学評価を行ってきた。この種の化合物が特定の塩基配列に対し反応することによって特定の遺伝子の発現に影響を与えることができるかどうかは、新しい分子標的治療薬の開発観点からしても非常に興味深いと考えられる。我々は共同研究者らと共にヒストンH4遺伝子に注目し、この遺伝子をコードする配列に対し反応するDNAアルキル化剤の合成とその配列特異的な反応に由来する生理活性の評価を行った。このアルキル化剤が全体の遺伝子発現にどのような影響を示すか調べるためDNAマイクロアレイ法を用いて解析した。その結果、全遺伝子の変化の中でもヒストンH4関連の遺伝子発現においては比較的大幅な(2倍以上の)減少が見られた。配列特異的なDNAアルキル化によって、内在性の遺伝子発現においてもある程度の特異性が現れたことを示唆できると考えられる。また、配列特異的DNAアルキル化剤の多種類に及ぶ大量供給が難しいという課題の克服のため、急性リンパ腫などに対する抗がん剤としても使われるクロラムブシルを連結させたDNAアルキル化剤の検討を進めた。これまでクロラムブシルを配列認識部分と連結させた化合物の例は少なく、連結部位としてどこが最適かを調べるためにPy-Imポリアミドの各位置に連結させた化合物を合成した。反応性や反応する塩基の位置がPy-Imポリアミドとクロラムブシルの連結部位によって異なることが分かった。得られた知見を基に多様な配列を認識するアルキル化剤を、迅速、そして大量に供給できるようになった。
All 2010 2009 2008
All Journal Article (8 results) (of which Peer Reviewed: 8 results) Presentation (7 results)
Bioorganic Medicinal Chemistry 18
Pages: 168-174
Pages: 978-983
Pages: 1236-1243
Tetrahedron Letters 10
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Bioorganic Medicinal Chemistry 17
Pages: 1393-1397
Nucleic Acids Research 36
Pages: 2889-2894
Bioorganic Medicinal Chemistry 16
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Pages: 9741-9744