Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本年度(22年度)は昨年度(21年度)に引き続いて計測対象斜面における地中水の挙動を経時計測し,(土壌水分計付貫入計)CPMPによって把握した土層構造の情報を踏まえた上で,降雨に対する斜面の安定性について検討を行った。斜面の上部において,圧力水頭が降雨に対して遅れて上昇し,緩やかなピークを呈する箇所が存在した。これは,基岩割れ目からの湧出水の存在を示唆するものである。この箇所では降雨ピークから遅れて斜面不安定性が増大する可能性が考えられた。斜面の中腹において,基岩面上および表層では不飽和であるが,中層のみ飽和し帯水層を形成する箇所が存在した。これらの箇所では降雨ピーク時には飽和帯が表層付近まで拡大するが,基岩面上は不飽和を保ったままであり,基岩面より浅い部分をすべり面として局所的に不安定化する可能性が高いと考えられた。斜面下部の常時飽和帯が形成されている領域の大部分では降雨に対して圧力水頭の応答は小さいものであったが,局所的に顕著な圧力水頭の増大を呈する箇所が存在した。このような箇所では,斜面上方からの素早い雨水流下,雨水集中があり,降雨波形に鋭敏に応答して斜面の不安定化が生じると考えられた。このように,CPMPによる平常時(無降雨時)の土層構造および土壌含水率分布の把握と,間隙水圧計網による圧力水頭の連続計測によって,自然斜面の表土壌層の安定性が詳細に評価出来ることが示された。
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