マルチカノニカルab initio分子動力学法による生体分子の自由エネルギー計算
Project/Area Number |
08J02286
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
城野 亮太 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD) (10586936)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ab initio分子動力学法 / マルチカノニカル法 / 古典力場 / ペプチド / QM / MM法 / アラニンジペプチド |
Research Abstract |
量子化学的な裏づけがあるマルチカノニカルab initio分子動力学法を用いて,従来より多くのアミノ酸残基間相互作用および溶媒としての水が存在する時のアミノ酸の自由エネルギー地形を求めることによって,既存の古典力場の信頼度を表す指標を提案する.古典力場の評価は従来,Protein Data Bank等の実験と矛盾がないかどうかや,実際にシミュレーションを行ってみて天然構造へ到達するかどうかなど主観的な要素が大きかったが,本研究が行おうとしている評価方法は,量子化学に基づく第一原理的な指標を導入する客観的なものである。 本年度は,主にアミノ酸の側鎖が主鎖の二面角回転にどのような影響を及ぼすのかについて調べた.アラニンペプチドとグリシンペプチドの比較解析から,α炭素-窒素間距離はα炭素-炭素間距離よりも短いことから二面角φの回転の方が二面角Ψの回転よりもβ炭素とペプチド基の反発が大きく,とりうる構造が大きく制限されていることが分かった.また,この反発がない構造についてはβ炭素から受ける影響は1kcal/mol程度よりも小さく無視できると考えられる。一方でセリンペプチドについては.側鎖の自由度が主鎖の構造に比較的強く拘束されており,この効果がまた主鎖の構造を拘束していることが分かった.特に(φ,Ψ,χ)=(-90,70,60)の二面角で定義される構造は側鎖と主鎖間にできる水素結合によって安定化しており,アラニンよりも二面角Ψの回転が制限された分布をしていた.このことからグリシン→アラニン→セリンと側鎖に官能基が付加されていくにつれ,エネルギー地形も加算的に変化していくことがわかった.これらの結果は古典力場であるAMBERの設計思想と合致した.しかし古典力場を用いて得られた構造集団をもとに精度の高い構造集団を生成することはできなかったため,古典力場は量子化学計算を充分に再現しているとは言えないと考え,構造集団の詳細な比較を行った.
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)