相対論的流体力学と不純物粒子の拡散過程の融合に基づくQGP中の輸送現象の研究
Project/Area Number |
08J02385
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Particle/Nuclear/Cosmic ray/Astro physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤松 幸尚 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | クォーク・グルーオン・プラズマ / 相対論的重イオン衝突 / スペクトル関数 / チャームクォーク / ボトムクォーク / 拡散現象 / チャーム・クォーク / ボトム・クォーク |
Research Abstract |
相対論的重イオン衝突におけるクォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)の物性研究は、2010年11月からLarge Hadron Collider(LHC)での重イオン衝突が開始したこともあり、原子核物理の研究者のみならず近年QGPの物理との関連が指摘されている超弦理論の研究者にも注目を浴びている。 今年度は昨年度までの重いクォークの拡散現象の研究が一段落ついたこともあり、Relativistic Heavy Ion Collider(RHIC)における電子・陽電子対の放射についての研究を行った。RHICにおいて電子・陽電子対放射の詳細な実験データが得られ、他の研究者の計算によるとその量が既存の理論では説明できないほど多い、というのが現状である。我々は3+1次元の流体模型に基づき、電子・陽電子対の放射について、[1]流体時空発展の状態方程式への依存性、[2]輸送現象から特徴づけられるスペクトル関数、の2点に着目して独自の研究を行った。 [1]流体時空発展が状態方程式に強く依存していることが判明したが、電子・陽電子対の放射スペクトルはあまり状態方程式に依存していないことが分かった。これは電子・陽電子対の放射が、流体時空発展全体から起こっていることによる。[2]輸送理論によると、スペクトル関数は低エネルギー・運動量の領域で発散を生じることが知られている。我々は、これが実験データで見られた大量の電子・陽電子対と関連していると考え、実験データから逆に輸送理論のパラメタ、すなわち拡散係数Dと緩和時間τ、を引き出す計算を行った。その結果、拡散係数についてはQCDの摂動論に基づく弱結合理論による計算値に近く、緩和時間についてはAdS/CFTに基づく強結合理論による計算値に近くなった。この結果の解釈ならびに正当性については、今後のより厳密な理論研究の発展が不可欠である。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)