ABCA1依存的脂質ドメイン形成の検出とHDL形成機序の解明
Project/Area Number |
08J02796
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical pharmacy
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 正和 Kyoto University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 高密度リポタンパク質 / アポリポタンパク質A-I / ABCA1 / リポソーム / POPC / 脂質2分子膜 / エントロピー / エンタルピー / アポーリポタンパク質A-I / フリップフロップ / 中性子小角散乱 / エンドソーム / 細胞膜 |
Research Abstract |
アポリポタンパク質A-I(apoA-I)とリン脂質との複合体であるディスク状高密度リポタンパク質(Disc)の形成メカニズムを明らかにすべく、Discの熱力学的安定性を初めて定量的に評価した。リン脂質としてPOPCを用い、デオキシコール酸透析法によるDisc形成の温度依存性を、ゲルろ過クロマトグラフィーにより評価した。その結果、脂質とapoA-Iの複合体形成反応であるDisc形成は、エントロピー的には不利であるが、それを凌ぐエンタルピー的な有利によって、熱力学的に安定化する反応であることが示された。また、apoA-IのCD測定により、Disc形成にともなうエンタルピー低下の大部分が、apoA-Iのα-ヘリックスの増加によってもたらされることが判明した。また、Disc化による脂質膜の変化を、脂質膜に導入した蛍光プローブ(n-AS)の蛍光異方性、蛍光寿命によって調べたところ、Disc化にともない、脂質のパッキングが密になることが明らかとなった。このことから、Disc形成にともなうエントロピーの低下は、apoA-Iのα-ヘリックスの増加とともに、脂質膜のパッキングの上昇が原因であることが示唆された。一方で、Disc形成の活性化障壁が大きいために、apoA-Iと脂質ベシクルとの混合物は、準安定の状態にあることも明らかにした。これらの研究成果は、Discの形成機序を解明する上で、非常に重要な知見であると考えられる。Disc形成の仮説には、膜タンパク質ABCA1の脂質トランスポーター活性によりapoA-Iに脂質が直接輸送されることでDiscが形成されるという説と、ABCA1の脂質トランスロカーゼ活性によって摂動を受けた膜からapoA-Iが自発的に脂質を引き抜くことでDiscが形成されるという説があるが、本研究により、後者の仮説の可能性が物理化学的立場から裏づけられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)