多成分ベシクルの相分離と秩序転移の結合による代謝経路の構築
Project/Area Number |
08J02802
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
土木材料・力学一般
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
佐久間 由香 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員PD
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 生体膜 / ベシクル / 相分離 / 自己生産 / 自発曲率 / 接着 / 融合 / 孔形成 |
Research Abstract |
生体膜の主な構成分子である脂質は両親媒性分子であり、水中に分散すると自発曲率に応じて様々な自己集合体を形成する。特に親水基と疎水基の大きさが同等の自発曲率が零のシリンダー形脂質はベシクルと呼ばれる球殻状の二分子膜を形成し、モデル生体膜として多く用いられている。近年、生命と分子集合体の境界を明らかにすることを目的として、代謝機能と自己生産機能を有する前駆生命体の合成がベシクルを用いて盛んに研究されている。 代謝の素過程である膜接着や融合,孔形成といった膜変形は蛋白に誘起される局所的な曲率により制御されていると言われている。そこで本研究では脂質の自発的曲率に着目し、脂質ベシクルにおいて代謝経路の素過程を再現してきた。シリンダー形脂質と負の自発曲率を持つ逆コーン形脂質、または正の自発曲率を持つコーン形脂質から成る二成分ベシクルはそれぞれ接着と孔形成をすることがわかった。接着や孔形成はいずれも温度のみで制御可能であり、脂質のみから成るベシクルに温度変化という単純な外的要因を加えただけで前駆生命体の機能を再現できることが明らかになった。 そこで、今年度は前駆生命体のもう一つの機能である自己複製についてもベシクルでの再現を試みた。アシル鎖の無秩序転移点が比較的高いシリンダー形脂質と、逆コーン形脂質から成る二成分ベシクルは温度昇降により二通りの自己複製を再現することがわかった。逆コーン形脂質の比率が低い場合にはベシクルがピーナツ形への変形を経て二つに分断されるバディング形、逆コーン形脂質の比率が高い場合にはストマトサイト形への変形を経て内部にできた子ベシクルを親ベシクルに空いた孔から放出するバーシング形の自己複製が観察された。このように自己複製についても脂質のみから成るベシクルに温度変化を加えるだけで再現できることが解り、分子集合体と生命との境界の解明にさらに近づくことができた。
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Report
(3 results)
Research Products
(22 results)