Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本研究では,細胞膜のストレス応答の解明を目的とし,細胞膜モデルを固定化したメンブレンチップを開発した。細胞膜モデル間の膜-膜間相互作用を評価すると,コレステロールが誘導する膜構造および膜特性の変化が,細胞膜間の相互作用・ネットワークを制御している可能性が示唆された。また,その評価プローブとして用いた蛍光コレステロールが,生体内特に脳内に存在する酸化コレステロールと同様の特性を示すことを明らかにした。 1.細胞膜モデルのリポソームを固定化したメンブレンチップを開発し,2種の評価手法を用いて膜-膜間相互作用を評価した。(1)蛍光漏出法を用いた系では,細胞膜の主成分であるコレステロールに着目し,コレステロールが誘導する膜構造および特性の変化が,膜-膜間作用の重要な因子であることを示した。(2)蛍光コレステロールを用いた系では,熱ストレス条件下における比較的強いリポソーム膜-膜間相互作用を検出できると同時に,(1)と同様の相互作用を検出できた。また,アルツハイマー症の原因タンパク質による細胞膜成分の酸化が,膜-膜間相互作用を強める可能性を示した。 2.1(2)で用いた蛍光コレステロールに着目し,リポソーム膜から膜への物質移動を評価すると,蛍光コレステロールの膜間移動速度など種々の特性が,酸化コレステロールと同様であることがわかった。 本研究で得られた知見は,コレステロールが誘導する膜構造に起因する膜-膜間相互作用の変化が,通常の細胞機能やストレス応答,アルツハイマー症などの疾病発症に,寄与する可能性を示唆している。また,脳内のコレステロール代謝に関わるコレステロール誘導体,酸化コレステロールと本研究で用いた蛍光コレステロールが,同様の特性を示すことを明らかにした。酸化コレステロールはまた,脳内で発生するアルツハイマー症との関連性が注目されており,蛍光コレステロールが酸化コレステロールの脳内動態の解析に有効であると期待できる。
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