Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
全反射蛍光X線分析では,入射X線を単色化し,蛍光X線分析線のバックグラウンドの原因となる散乱X線を低減させることが検出感度を向上させるために必要不可欠と考えられ,シンクロトロン放射光のような高強度X線源を用いることで,検出下限が改善されてきた.一方,本研究では,5ワットのX線管とコリメータとしてのX線導波路を用いて小型全反射蛍光X線分析装置を開発してきた.本装置の開発過程において,従来の定説とは反して,入射X線を単色化せずに使用する方が単色化するよりも検出感度を改善するために有効であることを明らかにした.すなわち,非単色X線を用いることにより,単色化する場合と比較してバックグラウンドは上昇するが,それを補って余りあるほどに蛍光X線強度を増大させることができるので,より微量な元素を検出可能にすることを示した.非単色X線利用の他,X線管の管電圧,管電流の最適化,入射X線の視射角の最適化,試料量を少なくすること,適切なX線管ターゲット材の使用により,本装置は,大型シンクロトロン放射光施設にあと3桁までに迫る10pg(10_<-11>g)の検出下限を達成した. また,レコード盤を用いて試作したX線屈折レンズを本装置の光学素子として利用し,X線導波路を用いて得られる全反射蛍光X線スペクトルとの比較を行った.レコード盤レンズを使用して得られた蛍光X線強度はX線導波路を用いる場合よりも弱かった.一方,このレンズを用いることで入射X線の角度発散が小さくなり,散乱X線が減少したので,蛍光X線分析線の信号対バックグラウンド比を向上させることができた.その結果,レコード盤レンズを利用することにより,X線導波路を用いる場合と同等の検出下限を達成することができた.
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