Project/Area Number |
08J03360
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Experimental psychology
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
富松 江梨佳 Kyushu University, 芸術工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 運動知覚 / 錯視 |
Research Abstract |
「蛇の回転」錯視に代表されるように、ある特定の輝度配列を持つ静止画を周辺視野で観察すると運動知覚が生じる。この錯視のメカニズムの究明は、運動知覚メカニズムの一端を明らかにすることができ意義深い。生起メカニズムについては未だ論争中であるが、錯視の強度に対する固視中の眼球運動の寄与が支持されている。本研究の目的は、実験心理学的手法を用いて、眼球運動だけでなく、輝度またはコントラストに対する順応がメカニズムに寄与するかを確かめることであった。今年度の重要な成果として(1)局所的な順応状態から回復する条件、(2)局所的な順応を変化させる条件についての調査・分析が挙げられる。(1)に関連した研究として周辺輝度の重要性に着目した研究、また(1)、(2)双方に関連した一連の研究として、網膜像静止の重要性に着目した研究を行った。その結果、「蛇の回転」錯視における運動知覚を回復させるためには、網膜像のリフレッシュが必要であるが、運動知覚自体を生じさせるためにはある一定期間網膜像が維持されなくてはならないことが示唆された。さらに、固視中の眼球運動の速度を内包するようなパーシュート(追従眼球運動)を行っても錯視の強度はきわめて弱いこと、運動の回復はサッケード(跳躍眼球運動)自体の効果ではなくそれに伴う網膜像の変化が重要であることが示された。これらの結果は、眼球運動のみでは説明できない。さらに、網膜像が数秒保たれると停止するという結果、周辺輝度によって錯視の強度や性質が左右されるという結果等から、この錯視に対する輝度またはコントラストの大きな影響を明らかにできた。また、「蛇の回転」錯視だけでなく、他の運動錯視についても時間特性と網膜位置依存性を検討した。その結果により、静止画における運動知覚を包括的に検討するにあたって重要な特性を示すことができた。
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