Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
表面・界面での不均一膜の構造や性質を決定づける大きな要因の1つとして不均一構造(ドメイン)境界の「線」の効果が挙げられる.その大きさの指標として用いられるのが単位線長さ当たりのエネルギーである「ドメイン線張力」である.本年度は,線の効果に着目して不均一構造の性質を探るという研究課題に基づき,ドメイン線張力の直接定量を試みる研究を行った.実験は当該分野の権威である独国バイロイト大学・Thomas Fischer教授の研究室において,光ピンセットにより形状を変化させたドメインが平衡形状に戻ろうとする際の緩和速度や外力との力の釣り合いを蛍光顕微鏡で観察することによりドメイン線張力を定量するという独自の研究手法により行った.ハイドロカーボンまたはフルオロカーボンを疎水鎖に持つ両親媒性分子を用い,さらにその疎水鎖長を変えることで膜を構成する成分の構造を変化させ,その際のドメイン線張力の変化を測定した.不均一構造の形状やサイズ,また実際に測定したドメイン線張力の値は両親媒性の構造と共に顕著に変化しており,不均一構造の性質とドメイン線張力との相関を定量的・定性的に明らかにすることに成功した.これまでドメイン線張力に関して為されてきた研究は理論的アプローチによるものが大部分であり,実験的に線張力の定量を報告した例は非常に少ない.このような現状の中,本研究は両親媒性分子の構造とドメイン線張力の値との関係,またその不均一構造の性質への影響を系統的に評価したものであり,当該分野の研究の今後の進展に大きな寄与を果たし得るものである.
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