古代イタリア半島の言語動態研究-碑文資料にみる言語の通時的変容とその共時的反映
Project/Area Number |
08J03614
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Linguistics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 周浩 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ラテン語 / イタリック語派 / ヴェネト語 / 母音の脱落 / 母音の融合 / わたり音 / Mars / ファリスク語 / 母音の弱化 / サベル諸語 / 母音縮約 / 母音脱落 |
Research Abstract |
ネイティブ・スピーカーが存在しない古代語の研究は、限られた言語資料の十全な整備とそれに基づく慎重な分析を要する。私が研究対象とする印欧語族イタリック語派の諸言語は欧米各国における伝統により比較的恵まれた状況にあると言えるが、代表格であるラテン語以外は十分な関心を集めているとは言えない。私はそれを補うべく一昨年度・昨年度とファリスク語の資料を整理・分析し、そこで経験的に得た要領を生かす形で今年度はヴェネト語に着手した。全ての資料に目を通すことはできなかったが、研究は確実に進展していると言える。 データの集積が最も安定しているラテン語にも、言語学の周辺領域から得られる知見を応用するこどで、新たな研究成果が生み出される可能性がまだまだある。私はアクセントのない音節での母音の脱落について詳細に分析を行い、その成果をまとめた論文はまもなく学術論文に掲載される。また、以前より注目してきたわたり音yやwの音韻論的振舞いについても研究を進めた。言語類型論的に見るとyiやwuのような音節は極めて珍しいとされるが、ラテン語においてこうした音節が音変化の結果生じる可能性がある場合yやwが削除され、音節として許容される形になる傾向がある。この見解を今年度はブラチスラヴァ大学の学会で発表し高評価を得た。その発展形は、近刊の学術雑誌に掲載が決まった。私の学説はわたり音に関連する問題への汎用性が高く、私自身これをラテン語の神格名称Marsの古形とされるMavorsの別形に適用した。一見不可解な語形をわたり音の振舞いという観点から合理的に説明し、その成果はミラノで行われた学会において好評を得た。近く論文としてまとめるつもりである。さらに、別のテーマとして、ラテン語の母音融合の歴史についても計画通り学会発表を行い、一定の評価を得た。これも学術論文として完成に近い状態になっている。
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Report
(3 results)
Research Products
(17 results)