戦間期日本における学校教育と職業世界との関係性構築過程に関する研究
Project/Area Number |
08J03730
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Sociology of education
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石岡 学 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 職業指導 / 学校から職業への移行 / 初等教育 / 職業世界 / 学校の社会的機能 / 就職 / 戦間期 / 「教育的」 / 移行問題 / 教育的 |
Research Abstract |
前年度の終わりより本年度にかけては、これまでにおこなってきた一連の作業を総括し、研究課題の包括的考察を行った。具体的には、昭和戦前期における学校教育と職業世界との関係性構築過程を総体的に解明し、その過程において移行問題がいかにして「教育」の眼差しのもとに置かれることとなったのかを明らかにした。そして、そこで形成された、移行問題を「教育問題」として捕捉するパラダイムが、日本社会における学校教育の社会的意味・機能をどのように規定したのかという問題について総合的に考察した。得られた知見をまとめれば、以下の通りである。 (1)昭和戦前期の学校に導入された職業指導は、現実的基盤を欠いた、極めて理念先行的なものであった。それゆえ、導入後の職業指導においては、「職業精神の涵養」を重視する立場と、「直接の就職斡旋」に積極的に乗り出す立場とに、方法論的分岐が生じた。この方法論的分岐は、これ以降の日本社会における学校と職業世界との関係性、具体的には「教育内容における非連続性」と「システムにおける連続性」の基盤を形成するものとなった。総じていえば、戦前期の小学校における職業指導の展開がもたらしたのは、「職業指導は学校で行われるべき教育的営為である」「生徒の進路・移行に学校が関与するのは当然である」というテーゼだけであった。 (2)上述のような学校と職業世界との関係性を土台とする「学卒即就職」という移行形態の成立こそ、「日本は学歴(偏重)社会である」という認識にリアリティを与え、選抜・配分をめぐる問題の焦点を「学歴」に収斂させていく基盤となった。 以上の知見より、「学校から職業への移行」に関わる問題とは、選抜・配分のあり方やその正当性をめぐる問題というより広い文脈から学校と社会との関係性を問い直すことなくしては、解決し得ない問題であることを主張した。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)