Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
マイクロ流路の壁面帯電(ゼータ電位)によって電界中で発生する電気浸透流の流動構造を解明することを目的とした研究を遂行し,以下の成果を得た.壁面ゼータ電位を把握するために,申請者らによって提案されたナノ・レーザ誘起蛍光法(Kazoe and Sato 2007)を基に,二色の蛍光色素およびエバネッセント波を用いたゼータ電位の定量法を開発した.本手法によって,壁面に施された自己組織単分子膜(SAMs)のパターンを可視化し,ゼータ電位分布として定量的に評価することが可能となった.本手法によう成果は国内学会にて発表され,Applied Physics Lettersに掲載された.また,非一様ゼータ電位によって発生する電気浸透流の過渡状態の速度分布計測を行った.エバネッセント波および体積照射を用いた壁面近傍およびバルク速度計測システムを開発し,位相平均粒子追跡法によって高時空間分解能を有する速度計測が可能となった.上記のSAMsを用いた表面修飾によってゼータ電位分布を発生させた実験流路を用いて電気浸透流の速度計測を行い,電界印加後から運動量拡散によって定常状態に達するまでの時系列速度分布を得た.以上の研究成果は国内学会において発表され,Measurement Science and Technologyに掲載決定となった.その一方で,本年度は米国ジョージア工科大学に海外渡航を行い,電気浸透流中における物質挙動の解明を目的とした研究を行った.エバネッセント波を用いた壁面近傍速度計測より,電界を印加すると粒子が壁面から離れる方向の力を受ける様子が観察された.粒子に働く力は粒子径の二乗,電界の二乗に比例し,非一様電界中における誘電泳動によって説明されることが判った.研究成果は国際会議にて発表された.これらの研究成果は,微小空間における精緻な流動制御および試料の吸着制御といった基盤技術の確立に貢献し,電気浸透流を用いた次世代マイクロ流体デバイスを実用化する上で必要不可欠なものである.
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