Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本研究は,蛍光体の理論設計手法を確立すること最大の目的とし,このために3年間で「蛍光体の結晶構造・電子状態・発光特性との関連性確立」を目標としたものである.本年度は3つの事項について研究を進めてきた.以下に今年度取り組んだ3つの事項について述べる. 1.カチオン添加によるEu^<2+>付活CaAlSiN_3蛍光体の発光波長の変化の予測: カチオンとしてLi,Na,Mg,Sr,Ba,Y,Laを添加したEu^<2+>付活CaAlSiN3(CASN)の電子状態計算を行い,カチオンによる発光波長変化を検討した.その結果,CASNの発光波長はLi,Na,Mgドープにより短波長化すること,Sr,Baドープによりほとんど変化しないこと,Y,Laドープにより長波長化すると予想した. 2.定量的構造物性相関による発光ピーク波長・励起波長の予測: 昨年度定義した,結晶中でのEuの受ける相互作用を表す値構造指数を用いて,重回帰分析により発光ピーク波長・励起波長を予測した.発光ピーク波長の場合で相関係数0.94となる予測式を得た.また,励起波長の場合は相関係数が0.93となる予測式を得た.アニオンの影響を比較すると,発光ピーク波長・励起波長の両者に対してOに比べSやNで長波長化への寄与が大きいことが分かった. 3.結晶構造中のアルカリ土類ネットワークによる高効率Eu^<2+>付活蛍光体条件の探索: 高効率となるEu^<2+>付活蛍光体中の結晶構造中には特徴的なアルカリ土類原子のネットワークが見られることに注目し,それが高効率発光の鍵であると考えた.結晶中からEuと相互作用しうる原子クラスターを抽出し,原子クラスターの対称性を判定した.この際,対称性を認めるのに必要な誤差距離をアルカリ土類ネットワーク(ANet)として定義した.12のEu^<2+>付活窒化物・酸窒化物蛍光体でANetを算出し,内部量子効率(Qin)との相関を解析した.その結果,ANetが小さいほどQinが大きいことが分かり,ANetがQinに対する有効な指標となることが示された.
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