ボトモニウムの測定による高温高密度QCD物質の研究
Project/Area Number |
08J04385
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Condensed matter physics 1
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
織田 勧 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2010: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | クォーコニウム / Z粒子 / 高温高密度QCD物質 / ミューオン検出器 / ボトモニウム / トリガー |
Research Abstract |
本研究はスイスのLHC加速器でのATLAS実験のミューオン検出器を用いて、核子対当りの重心エネルギーが2.76TeVでの鉛原子核衝突において、ミューオン対に崩壊する3種類のボトモニウム(γ)を測定し、衝突により生成された高温高密度状態(QGP)の性質を調べることを目的としていた。4月からの重心エネルギー7TeVでの陽子衝突実験で、ミューオン検出器がほぼ期待通りの動作を示していることを確認した。またミューオンチャンネルでのJ/Ψ、γの測定を進め、予備的な結果を得て、国際会議で発表した。11月から重心エネルギー2.76TeVでの鉛原子核衝突を行なった。パイオンやケイオンの崩壊によって生成されるバックグラウンドとなるミューオンが多く、γを捉えるためにはミューオンの横運動量の閾値を上げなくてはならず、統計量が非常に少なくなってしまうことがわかった。鉛原子核衝突では粒子多重度が大きく、多数のバックグラウンド事象のシミュレーションを作るのが時間的に難しく、実験して初めて分かったものである。しかし、質量の小さいJ/Ψは豊富な統計量が得られ、またQGP中では相互作用しない質量の大きいZ粒子も明瞭なピークが見られたため、J/ΨとZ粒子の収量の衝突径数依存性を調べた。最中心衝突では、QGP中で相互作用するJ/Ψは収量が50%未満まで抑制されるのに対して、Z粒子は統計誤差の範囲で抑制が見られないという理論予測と無矛盾な結果が得られた。 論文は2月に出版され、世界最高エネルギーでの重イオン衝突実験でのクォーコニウムの測定結果を世界で初めて公表することができ、一定の成果をあげられたと言える。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)