Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2009: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
神経変性疾患に共通してみられる現象として,神経細胞の機能低下とそれに続く細胞死がある.このような神経細胞死を引き起こす原因として,細胞内外に蓄積したタンパク質凝集体があげられる.筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Screlosis ; ALS)では,原因遺伝子の約20%をSuperoxide dismutase 1(SOD1)が占めており,このSOD1タンパク質に変異が入ると凝集体を形成することが知られている.これらの変異タンパク質の凝集体が,細胞内のどのような場所でどのような構造にあるとき,細胞毒性を持つのか.そして細胞死に至るのかといった問題点を解明するため,細胞内の分解機構の一つであるプロテアソーム経路の阻害剤を用いたところ,変異型SOD1は細胞内で凝集体を形成した.さらに,プロテアソームの活性を回復させたところ,凝集体は脱凝集を介して消失した.これらの脱凝集過程は,プロテアソームの活性に大きく依存しており,細胞内における別の分解経路として知られているオートファジー・リソソーム経路は必須ではないことを見出した.また,蛍光相関分光法技術を用いることで,変異型SOD1タンパク質は生細胞のサイトゾルで複合体を形成していることが判明した.蛍光相関分光法の解析により,この複合体は変異型SOD1タンパク質のみを含むものではなく,他の細胞内因子が含まれていることが示唆された.さらに,免疫共沈降法・マススペクトル解析により,分子シャペロンHsc70などが含まれていることが明らかとなった.このことから,細胞内において凝集体の毒性を抑制する際に,分子シャペロンが関与していることが示唆された.
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