細胞内運動性顆粒の高速SPM観察:ストレスファイバー形成への力学的機構の解明
Project/Area Number |
08J04710
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
土木材料・力学一般
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 和志 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | アクチン細胞骨格 / 走査型プローブ顕微鏡 / ストレスファイバー / ライブセルイメージング / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
細胞内に存在するアクチン線維の束であるストレスファイバーは、組織の傷の修復、組織の力学的性質の維持、細胞の移動などにとって極めて重要な構造体である。しかし、その形成過程においてどのような力が働き、アクチン線維を組織化しているのかは未解明である。本研究の目的は、ストレスファイバー形成領域である細胞辺縁のラメラ領域においてアクチン細胞骨格の動態を観察し、そのダイナミクスを明らかにすることである。前年度までに、私は、ラメラ領域におけるアクチン細胞骨格の高速走査型プローブ顕微鏡(SPM)観察法を確立し、この方法による観察した微小顆粒がアクチン細胞骨格の構成要素であることを明らかにし、この微小顆粒は一方向に流れながらフラフラと揺らいでいることを発見した。 本年度では、流れの影響を排除して揺らぎの特性のみを抽出する解析法を考案し、これを微小顆粒の秒スケールでの動きに対して適用した。その結果、この揺らぎには単純拡散様の特性があることが判明した。このことは、アクチン細胞骨格は秒スケールで内部構造を再編し流体のように振舞うことを示している。また、この振舞いにはモータータンパク質ミオシンIIによる能動的な力が必要であることも明らかにした。さらに、Rhoキナーゼの変異体を用いてミオシンIIを過剰に活性化させると、細胞の硬さが急激に減少することを発見した。このことは、ミオシンIIがアクチン細胞骨格を流動化させるという上記の仮説を支持する結果である。アクチン細胞骨格の流動化は、ストレスファイバー内部構造の再編によって必須のプロセスであると考える。 また、細胞内に挿入して細胞内の力を直接測定するための「ナノ探針(長さ約3マイクロメートル、幅約200ナノメートル)」を作製し、このナノ探針による実験の有用性を検証した。ナノ探針にかかる力は、根元に取り付けられた板バネのたわみとねじれによって検出できる。検証の結果、たわみによる自発的な力の検出は、測定系ノイズと比較して細胞内の力が非常に小さいため、難しいことがわかった。板バネのねじれによる自発的な力の検出が今後期待される。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)