STMによるGe(001)表面の構造遷移と電子状態の研究
Project/Area Number |
08J05000
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Nanostructural science
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富松 宏太 The University of Tokyo, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | Ge / Si / STM / 表面科学 |
Research Abstract |
Ge(001)表面にIV族元素X蒸着すると、XとGeからなる二量体(X-Geダイマー)が表面に形成される。平成19年度までの研究で、走査トンネル顕微鏡(STM)探針からのキャリア(電子・正孔)注入により、Sn-Geダイマーの表面からの傾斜を反転できることを明らかにした。さらに、STMで電子定在波を測定することにより、Sn-Geダイマーによる表面一次元電子の散乱を明らかにした。当該年度は、(i)X-Geダイマーの散乱ポデンシャルの形成機構と(ii)キャリアによるダイマー傾斜の反転機構を解明する目的で、Si-Geダイマーを作成し、Sn-Geダイマーの結果との比較を行った。 実際にSi-Geダイマーは作成可能であり、これらのダイマー傾斜もSTMで反転できる。我々は、電子定在波をSTM測定し、電子伝導経路にX元素が位置するダイマー傾斜において、Si-GeダイマーとSn-Geダイマーが逆符号(引力または斥力)の散乱ポテンシャルを形成することを示した。さらに、清華大学(北京)の理論グループとの協同研究により測定結果を理論検証し、散乱ポテンシャルは伝導経路にある元素の原子軌道エネルギーから説明されることを見出した。これらの研究成果は、学術誌(Physical Review B誌)および国内外の学術会議で論文発表した。国際会議(ISSS5)において招待講演発表も行った。 また、我々は、Si-Geダイマー・Sn-Geダイマーの傾斜反転に必要な電子エネルギーをSTMで精密測定した。上述の清華大学の理論グループと協同して、測定した電子エネルギーは表面周期欠陥の局在電子状態によって特徴付けられていることを示した。これらの実験・理論結果に基づき、ダイマーの傾斜反転は、「共鳴散乱」と呼ばれる電子の非弾性散乱過程により誘起されていることを解明した。一連の研究成果は、学術誌(Surface Science誌)で論文発表を行った。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)