Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本年度は,擬似基質を利用する手法の一般性を検証するため,シトクロムP450_<BSβ>(P450_<BSβ>)と44%のアミノ酸相同性を示すシトクロムP450_<SPα>(P450_<SPα>)の利用を検討した.P450_<SPα>のX線結晶構造解析に成功し,P450_<BSβ>と共通の酸化活性種生成機構が,P450_<SPα>にも保存されていることを確認した.P450_<SPα>による非天然基質であるスチレンのエポキシ化反応を,直鎖状のアルキル鎖の短いカルボン酸を擬似基質として用いて行った結果,同じカルボン酸存在下でも,P450_<SPα>とP450_<BSβ>では,反応の不斉選択性が逆転することが明らかとなった.一方、直鎖状のパーフルオロカルボン酸を用いた場合は,P450_<SPα>とP450_<BSβ>のどちらも全く触媒活性を示さなかった.また,興味深いことに,P450_<SPα>にα位にキラル中心を持つカルボン酸を擬似基質として用いると,擬似基質のキラリティーの違いのみで,不斉選択性が反転する現象を見いだした.高いS選択性へと不斉選択性を変化させた(R)-イブプロフェンと野生型P450_<SPα>との共結晶のX線結晶構造解析により,α位のメチル基がスチレン分子の結合に与える影響について原子レベルで明らかとした.一方,システインへの特異的化学修飾反応を利用し,P450_<SPα>の反応空間にフッ素原子を有する有機分子を導入した場合についても,擬似基質を用いたスチレンのエポキシ化反応を行った.同じ擬似基質を用いた場合で比較した結果,反応活性,不斉選択性ともに,修飾前の方がより高いことが明らかとなった.以上の結果から,擬似基質を用いる本手法は,酵素の共有結合による化学修飾を必要とせず,触媒活性や不斉選択性を簡便に制御・変換可能とする新規酵素機能改変法として,今後の利用が期待される.
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