Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Research Abstract |
精神ストレスに伴う交感神経活動の高進は,消化器系の血管収縮を引き起こす.一方,運動後は,交感神経活動が低下する.これらのことから,運動後は,精神ストレスに伴う過剰な交感神経活動の高進が抑制され,消化器系の血管収縮を緩和できるという仮説が立てられる.この仮説を検証し,消化器系の機能を維持・改善する手段としての運動の有用性について検討することが,本研究の目的であった. 健常男性11名に,年齢推定最高心拍数の70%強度の自転車エルゴメーター運動を30分間行わせた.運動終了10分後,ストレス前の初期値を5分間測定し,その後5分間のストレス負荷を行った(運動試行).また,対照試行として,40分間の安静および5分間の初期値測定の後,ストレス負荷を行った.消化器系の血管応答を評価するために上腸間膜動脈(SMA)の血流速度を,また,消化器系以外の末梢血管応答を評価するために中大脳動脈(MCA)の血流速度を計測した.加えて,平均動脈血圧を計測し,それぞれの血流速度を平均動脈血圧で除することにより,血管コンダクタンスを算出した.運動試行および対照試行ともに,SMAの血流速度は精神ストレス中に有意な変化を示さず,血管コンダクタンスは減少した.これらの応答に試行間の差はなかった.したがって,「運動が精神ストレスによる消化器系の血管収縮を緩和する」という仮説は立証されなかった.MCAの血流速度は,両試行の精神ストレス中に増加し,血管コンダクタンスは有意に減少した.運動試行のMCA血流速度は,対照試行と比較して有意に低い値を示した.このことから,運動が精神ストレスに対する脳血管の応答に影響を与えることが示唆された. 本研究の成果は,European Journal of Applied Physiologyに投稿中である.
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