Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本年度は,主に,昨年度に引き続いた非定常ハミルトン・ヤコビ(HJ)方程式の解の長時間漸近挙動と,非局所性を含んだ曲面の発展方程式に関する研究を行った.HJ方程式の研究では,現在までに境界条件として周期境界条件または状態拘束境界条件を加えたHJ方程式の解の挙動について明らかになっていた.本研究ではこの漸近問題のさらなる進展を目指した.具体的には境界値が長期的にみると時間周期的に変化をするDirichlet境界条件を課した問題を考察し,解の力学的構造に着目し,それぞれの収束を示した.さらに,漸近形の表現公式を導き,極限がどのように初期値,境界値に依存するかを明らかにした.HJ方程式は完全非線形方程式でその取扱いが難しく,この結果は純粋数学の結果として重要である.また,結晶成長学,最適制御理論等でその応用が期待でき,その意味でも意義があると言える. また,曲面の発展方程式に研究では,非局所性を含んだ一般的な曲面の発展方程式の等高面方程式について考察し,その解の一意性に関する結果を得た.この結果は,同方程式に対する等高面の方法の正当性を保証する基礎的結果である.その応用例として,材料工学に現れる転位の時間発展を記述するモデル方程式,神経細胞学に現れるFitzHugh-Nagumo方程式のある極限方程式を含む.これまでに,同方程式は取り扱いが難しく数学的研究は少なかったが,最近発展した評価等を駆使する事でこの結果を得た.純粋数学としては,非局所微分方程式に対する一つのアプローチを提唱し,更に,等高面方程式に起こりうる肥満化現象に対しての結果も含んでいる.また,多くの応用例があることが示しているように,応用上も意義ある結果と言える.
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