厳密にカイラル対称性を保つ格子QCDによるイプシロン領域の解析
Project/Area Number |
08J05799
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Particle/Nuclear/Cosmic ray/Astro physics
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
深谷 英則 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 量子色力学 / カイラル対称性 / 格子ゲージ理論 / カイラル摂動論 |
Research Abstract |
近年の格子ゲージ理論における、理論面、数値計算の技術面での進展により、厳密にカイラル対称性を保つDirac演算子(オーバラップ演算子)を用いた大規模数値シミュレーションが現実のものとなった。発表論文の最初の3本は、特別研究員採用前からのJLQCD共同研究の成果であり、厳密なカイラル対称性の有効性を最大限に引き出すことで得られた重要な結果である。一方、カイラル極限で相関長が大きくなるパイ中間子による有限体積効果という新たな課題に対し、後半2本の論文で重要な進展を発表できた。カイラル摂動論の有限体積効果を正確に見積もり、格子QCD数値計算から物理量を抽出することへ貢献できるものである。特に、Damgaard氏との論文では、Dirac演算子の固有値分布から、カイラル凝縮だけでなく、QCDのさまざまな情報を抽出できることを明らかにし、さらに、その依存性が低エネルギーで弱くなり普遍的な性質を示す様を、一つの滑らかな公式として導くことができた。この国際共同研究は、ニールスボーア研究所への滞在で、カイラル摂動論の世界的権威であるP.H.Damgaard氏、IFICのP.Hernandez氏らとの共同研究を進めることができた。日本での共同研究(JLQCD collaboration)にも引続き参加し、2本の論文がPhysical Review Lettersに受理されるなど、大きな成果を挙げた。特に、科研費で海外渡航中の研究発表の機会に恵まれ、バレンシアのグループとの共同研究を効率よく進めることができた。 これらの研究成果が認められ名古屋大学特任助教に採用され、学振特別研究員は辞退させて頂くが、任期中の研究成果、共同研究者を大切にし、新しい環境で研究を進めて行きたいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)