大衆メディアとしての十九世紀挿絵本 ジュール・ヴェルヌと二十世紀の大衆文化
Project/Area Number |
08J05920
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ語系文学
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
石橋 正孝 学習院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 19世紀フランス文学 / ジュール・ヴェルヌ / 挿絵 / 連作 / 源泉 / 草稿研究 / 出版 |
Research Abstract |
19世紀フランスの小説家ジュール・ヴェルヌ(1828-1905)の小説連作《驚異の旅》が、挿絵本として制作されたことから、内容・形式の両面でどのように規定されていたのか。それを具体的な作品分析を通じて解明した上で、二十世紀の大衆文化におけるシリーズものの基盤となっていた美的感性を《驚異の旅》が部分的に準備していた事実を示すこと。この二段階からなる本研究の最終年度となる昨年度は、ほぼ終了している第一段階と併せ、第二段階を完成させることだった。残念ながらその目標を完全に達成することはかなわなかったが、達成の目途は立ったといえる。6月に渡仏した際に、フランス国立図書館にて『海底二万里』の草稿をマイクロフィルムで調査し、この成果を12月にピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学主催の国際学会にて発表。この発表では、『海底二万里』だけではなく、《驚異の旅》の編集システムの原動力となっていた編集者エッツェルが死んだ後もその息子との間でシステムが自律的に機能していた様子を示すことができた。また、連作の「自動生成」という観点から注目されるもうひとつの事例、『ベガンの五億フラン』に関する研究を6月にパリ第七大学で開催された国際学会にて発表した。以上をもって、《驚異の旅》の連作としての全貌を、独自の視点から描き出すことに一定程度成功したと考える。その上で本研究の最終目標である、20世紀に至るシリーズものの歴史における《驚異の旅》の位置確定に関しては、フランスの雑誌Cahier de l'Herneのミシェル・セール特集に、セールのヴェルヌ論を本研究の観点から再読し、連作としての《驚異の旅》生成のダイナミズムを分析した論考を発表、ヴェルヌと同時期のゾラや20世紀の漫画シリーズ「タンタン」との比較が可能となる理論的足場を得た。
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Report
(3 results)
Research Products
(17 results)