タイ族の音文化における感覚表象と文化変容に関する研究
Project/Area Number |
08J05944
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Area studies
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
伊藤 悟 The Graduate University for Advanced Studies, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2008 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Keywords | 徳宏タイ族 / うた / 文化的感覚 / 送霊儀礼 / シャマニズム / 上座仏教 / パフォーマンス / タイ族 / 音文化 / 感覚文化 / 送魂儀礼 / 精霊信仰 / 仏教 |
Research Abstract |
今年度は前年度の長期調査で得られた参与観察によるデータ、録音資料、タイ族文字資料を整理し、分析を始めた。その成果の一部は、日本文化人類学会第43回研究大会と東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究会「タイ文化圏における山地民の歴史的研究」において口頭発表を行なった。それら口頭発表を踏まえ、ジャーナル『総研大文化科学研究科』に論文を発表した。また、資料整理と分析の過程で生まれた疑問や不足情報は1月に行なった短期調査によって補った。現在は来年度の文化人類学会で発表する映像人類学的民族誌映像作品を編集している。また、シャマンの送霊儀礼における即興うたのテクスト化を分析した投稿論文を執筆中である。 本研究は、徳宏タイ族が実践する聴覚表象の考察を通じて、諸感覚間の相互作用の様態とその変遷を分析し、音と基層の伝統的観念・価値の関係性、そしてそれら観念や価値がどのように文化のダイナミズムに作用するのかを明らかにすることである。日常の現実世界、合理的世界において感覚間の相互作用が際立って文化として表象されることはないが、人々が共有する高次の空間、魂や精霊や仏教の信仰が立ち現れる心の空間では構造主義的な神話論理が読み取れ、現実世界と心の空間の媒介がシャマンによって仲介されるのはもちろん、一般の人々の感覚表象であってもある種の手続きをとることで意識的・無意識的に交通が行なわれるようになることがわかった。特に音、具体的に詩的な言語行為はもうひとつの空間、神話的な心の空間と合理的現実世界を結び付ける重要な実践である。 これまでの研究では言語の壁が立ちはだかり、詩的な口承テクストを詳細に分析し、実践行為の分析と摺り合わせていく研究は非常に少なかった。今後、これまでのデータを更に緻密に分析を進めることで人々の文化的感覚のあり方と変遷を民族誌によって具体的に明らかにしたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(5 results)