量子モンテカルロ法による高精度電子状態計算の実現とフント第一、第二則の統一的解釈
Project/Area Number |
08J06432
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山田 隆行 Tohoku University, 金属材料研究所, 特別研究員(PC)
|
Project Period (FY) |
2008 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | フント則 / ビリアル定理 / 電子相関 / 計算量子化学 / 第一原理計算 / 定常状態 / 電子状態 |
Research Abstract |
フント則は、電子間斥力エネルギーの低下により解釈されてきたが、この従来解釈はビリアル定理に違反し誤りである。基本的ハミルトニアンから直接導出されるビリアル定理は、パウリの排他原理と共に将来的材料設計に向けて、第一原理手法を有意に発展させるための最も重要な指導原理である。本研究は、これまでに2p、3p原子についてフント第一、第二則は核遮蔽の低下に起因した原子核電子間引力エネルギーの低下により統一的に解釈されることを示した。この研究を3d遷移金属原子に拡張し、より安定なLS項において原子核電子間引力エネルギーは低下し、これは電子間斥力エネルギーの増加を伴うことをビリアル定理を満たす高精度計算から確かめた。HF法によるエネルギー差の過大評価は相関を考慮することで改善し、実験とのより良い一致が得られた。また、相関の影響をビリアル定理に基づき解析し、相関は電子間斥力エネルギーの低下のみならず、核遮蔽を弱め電子密度分布をHFと比べ更に収縮させることにより原子核電子間引力エネルギーを低下させることを確かめた。3d原子について配置間混合により主として静的相関を考慮する多配置HF法では相関の回復率は50%程度であったが、電子間距離に陽に依存した多電子波動関数を用いて動的相関を考慮するVMC、DMC法では、それぞれ70%、93%の回復率が得られ、3d原子の相関の定量評価において後者の手法が優位であることが分かった。計算においては本研究でプログラムを改良し評価した電子密度についてカスプ条件、核遠方での漸近関係を検証し、これを高精度に満たすことを確認した。上記の研究成果は、磁性を初めとする物性科学の基礎理論に対する重大な問題提起となっており、ベトナム・ハノイで開催された国際会議(ACCMS5)において発表した他、国際的専門誌へ向けて論文を投稿中である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)