Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本研究課題は,地殻上部の変形挙動に対する大気中ラドン濃度・放射線の応答および地震前兆として生じる前駆現象との関係を解明することを目的とする.本年度は,以下の2つの研究成果を得た. 1.大気中ラドン濃度と気象要素に基づくラドン散逸率の推定:ラドンに関する地殻-大気間の相互作用を特徴づけるのは,両者間の移動量を表すラドン散逸率であると考えられる.しかし,大気中ラドン濃度から散逸率を推定する方法は確立されていない.本研究では,大気熱力学に基づき,大気中ラドン濃度と気象要素(気温と熱フラックス)からラドン散逸率を推定する式を導出した.その妥当性は,ラドン散逸率の測定により確かめられた.また,このモデルに基づき気温逆転層高と等価混合層高関係を数理的に提示した. 2.地殻変動に対するラドン散逸の応答:1995年兵庫県南部地震前に,大気中ラドン濃度及び地殻歪が連動して異常な変動を示していることが報告された.これは,地殻歪により地殻内流体の間隙圧が変化し地殻内のラドン流量に変化が生じたためであると考えられるが,両者の関係を定量的に明らかにした研究は行われていなかった.本研究では,応力(歪)によるラドン散逸量の変化を検討し,ラドン散逸量の異常を説明しうる地殻歪の大きさが,実際に観測された地殻歪の大きさと整合的であることを明らかにした.このことは,地震発生前に観測されたラドン散逸量異常が地殻歪による地殻内間隙圧変化に起因していることを示している.
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