昆虫類のグラウンドプランの解明-最原始系統群イシノミ目への分子発生学の導入-
Project/Area Number |
08J06763
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biodiversity/Systematics
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中垣 裕貴 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | イシノミ目 / 昆虫類 / 比較発生学 / 分子発生学 / グラウンドプラン / 形体形成 / 体節形成 / engrailed / 形態形成 |
Research Abstract |
昆虫類については古くから数多くの比較形態学的研究が行われてきたが、昆虫類の基本的体制、グラウンドプランの理解は未だ不十分であり、頭部体節制など、重要な課題が残されている。分子発生学は、発生現象の遺伝子メカニズムをよく説明してきたが、その複合的最終産物である体制の理解を進展させてはいない。本研究課題では、祖先的形態をよく残していると想定される昆虫類の最原始的分類群、イシノミ目を材料とし、形態形成の過程を厳密な比較発生学的方法で検討すると同時に、分子発生学的手法を導入し、形態形成遺伝子の発現パターンからも相同制に基づく比較議論を行うことにより、昆虫類のグラウンドプランの解明を目指すものである。 今期はイシノミのengrailed相同遺伝子(enホモログ)の発現解析を、各発生段階を追って行った。イシノミ胚では円盤状の初期胚帯においてはenホモログの発現は確認されず、胚がわずかに伸長した段階において間挿体節で最初の発現が見られた。その後間挿体節の前後の体節である触角体節と大顎体節で発現し、続いて小顎体節以後の各体節で前から順に発現が見られた。また小顎体節における発現が現れる時期に前触角領域に一対の短い「ハ」の字型発現が現れ、その後発現領域が拡大、前胸体節の発現が現れる時期には触角体節の発現パターンと連続相同的な「ハ」の字型縞状パターンが観察された。 短胚型の体節形成についての詳細な報告は乏しく、特に頭部前方の体節形成についてはほとんど知見がない。今回昆虫類の最原始系統群であるイシノミで観察された体節形成のパターンは、胴部とは異なる形成様式があることが示唆されていた頭部体節について、本来的に胴部体節と異ならない可能性を示したという点において、昆虫類の体節形成を理解するための重要な新知見である。また前触角体節について分子発生学的なアプローチによって検討できる可能性を示した。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)