Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
これまでに,四つの硫黄原子を同一方向に有するポルフィリン保護配位子の設計・合成,および,ポルフィリン被覆金ナノ粒子の合成とキャラクタリゼーションを行ってきた.特に,末端官能基にジスルフィド結合を持つポルフィリン保護配位子は,非常に効率よく金ナノ粒子の粒径を小さく留めることができることを見出してきた.この結果に着目し,本年度は,金ナノ粒子の生成機構,および,粒子生成過程におけるポルフィリン保護剤の挙動を明らかにすることを目的とした. 保護剤存在下,塩化金酸を水素化ホウ素ナトリウムで還元する方法が,金ナノ粒子の調製法として最もよく用いられている.本方法における粒子生成反応は,非常に急速であるために,未だ粒子生成機構が明らかになっていない.そこで,一般的な単座保護剤であるドデカンチオールおよび上記のポルフィリン存在下での金ナノ粒子の生成過程を時分割Quick XAFS分光法を用いてその場観察した.粒子生成過程の中間体である金クラスター核を捉えることに世界で初めて成功し,粒子生成機構を提案した.一旦全ての金原子が4核の金クラスターを形成した後,クラスター同士が凝集することで粒子成長するという機構である.また,保護剤のかさ高さと多座配位性は,中間体である金クラスター核を捕捉する速度を遅くするが,その後の粒子成長を強く抑制することがわかった. 一方,提案した生成機構を利用して,金ナノ粒子の電子状態の粒径依存性についても検討した.具体的には,チオール保護金ナノ粒子の成長過程を捕らえた一連のAu L3, L2殻XANESスペクトルを解析することで,さまざまな粒径の金ナノ粒子のAuのd軌道の正孔の数を評価した.その結果,Auのd軌道の正孔は,粒径によって変化することが明らかとなり,金から保護剤の硫黄への電子移動の度合いは粒径によって変化することが初めて示された.
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