Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本研究では,ジュラ紀古世後期における北半球の古海洋環境変動について,アンモナイト古生物地理の変遷過程(中~長期的な環境変動をモニター)および海洋無酸素事変(短期的かつ劇的な海洋環境の変化)の解明といった観点から明らかにすることを目的として設定している. 前者については,本邦のジュラ紀古世後期群集において,Pliensbachian期末期におけるボレアル型群集(北半球高緯度地域に特徴的)からテチス型群集(低緯度地域に特徴的)への変遷およびToarcian期前期中葉におけるテチス-ボレアル混在型群集の存在が明らかとなった.特にPliensbachian期における群集変遷は,ヨーロッパにおける同時期の群集変遷より早期に生じていることから,Pliensbachian期末期~Toarcian期前期における急激な海水温の上昇に加え,同時期の海水準低下に伴うアヌイ海(北極海の前身)からのボレアル型群集の放散停止がその原因として考えられることが明らかとなった. 一方,後者については,豊浦層群西中山層の泥岩サンプルを用いた微量元素および希土類元素の全岩解析結果に基づき,Toarcian期最初期における還元的海洋環境の存在が明らかとなった.これと同時にアンモナイト群集の多様性低下が生じ,特定の分類群のみが絶滅していることから,分類群ごとの還元的海洋環境への耐性の差が示唆される.また,この還元的環境はヨーロッパ地域における同時期の貧酸素環境と年代的に一致するが,ヨーロッパおよび北米において確認されるToarcian期前期の海洋無酸素事変と比較するとやや早期に生じている.以上より,汎世界的とされるToarcian期前期の海洋無酸素事変は,テチス海西部(現在のヨーロッパ地域)およびパンサラッサ東部(現在の北米地域)に限定的なイベントであった可能性が示唆される.
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