遷移金属化学反応の理論的研究:配位子の揺らぎを考慮した理論的方法の開発と応用
Project/Area Number |
08J08303
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
越智 紀章 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 理論的研究 / 有機金属錯体 / σ結合活性化 / 触媒反応 / カリックスフィリン / ヒドロゲナーゼ類似錯体 / 水素分子活性化 |
Research Abstract |
遷移金属錯体は多様な構造、結合性、触媒作用を示し、生体内金属酵素から精密有機合成触媒などの広い分野で重要な位置を占めている。その触媒作用を明らかにするには、中間体や遷移状態に関する知見が必要であるが、触媒は本来微量なため、実験的に得ることは困難である。そのため、電子状態理論による触媒反応の機構解明や触媒作用機構の解明が待たれている。本年度は以下に述べる成果を挙げた。1最近、実験分野で報告されたポルフィリン類似錯体であるカリックスフィリンパラジウム錯体によるフェニルブロマイド(PhBr)のC-Br σ結合活性化反応の構造変化および電子的過程の理論的研究をおこなった。一般的に+2価の酸化状態にあるパラジウム錯体による。結合活性化反応の進行は困難であることが知られており、カリックスフィリンパラジウム錯体の酸化状態も+2価であることがわかった。しかし、PhBrの接近により、配位子が構造変化することで配位子からパラジウム原子への電荷移動が起こる。そのためカリックスフィリンパラジウム錯体は0価状態となり、酸化的付加が容易に進行することを明らかとした。このような配位子の柔軟な振る舞い、すなわち揺らぎを考慮して初めて本反応の正しい理解が可能となった。2生体内金属酵素ヒドロゲナーゼ類似機能を持つ遷移金属-典型元素二核錯体による水素分子の活性化過程の理論的研究をおこない、この場合も、配位子の柔軟な構造変化が水素分子の活性化を可能とする重要な因子となっていることを明らかとした。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)