細胞膜リン脂質二重層内外の脂質分布を制御する分子群の同定および機能解析
Project/Area Number |
08J08430
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Hematology
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
林 輝 鳥取大学, 大学院・医学系研究科生命科学専攻, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | スフィンゴミエリン合成酵素 / スフィンゴミエリン / ホスファチジルセリン / 血小板 / ホスファシジルセリン / 細胞膜 / フリップ・フロップ / リン脂質非対称分布 |
Research Abstract |
スフィンゴミエリン(SM)は細胞膜に最も多量に存在するスフィンゴ脂質であり、細胞内外のシグナル伝達や脂質マイクロドメインの形成などに寄与すると考えられているが、グリセロリン脂質であるホスファチジルセリン(PS)の配向性との関連については未だ不明な点が多い。本年度は、PSのフリップ・フロップの分子機構をSM代謝との連関から明らかにすることを目的とし、SM合成酵素であるSMS1およびSMS2遺伝子欠損(KO)マウスを用いた解析を行った。 SMS1 KOマウスでは野生型マウスに比べ、白血球数や赤血球数は正常であったが、血小板数のみが顕著に減少しており、尾静脈出血時間が有意に延長していた。血小板数の減少は骨髄における血小板造成の低下、そして脾臓での血小板の貯留・破壊の亢進に起因することが考えられる。SMS1 KOマウスの骨髄では巨核球の過形成が見られ、末梢血で血小板造成の指標となる網状血小板の比率が上昇していたことから、血小板の産生異常の可能性が示された。酸性リン脂質に結合するアネキシンVがSMS1 KOマウス由来の血小板と結合することから、SMS1 KOマウスではPSが血小板表面に高頻度に露呈していることが明らかとなった。またSMS1 KOマウスの脾臓では、CD68陽性細胞(マクロファージ)およびCD41陽性細胞(血小板)の数が増加するとともに両者が共局在したことから、SMS1 KOマウスでは血小板が脾臓に貯留し、網内系マクロファージによる破壊が亢進している可能性が示唆された。他方、SMS2 KOマウスではこれらの異常は観察されなかった。以上のことから、SMS1が血小板膜のPSの配向性を調節し、血小板の造血機構に関与することが示唆された。 当該年度はSMS活性がPSの配向性に寄与することだけでなく、血小板造成に関与することをin vivoで示した。このことはSM代謝異常の生物学的意義、ITP(特発性血小板減少性紫斑病)の評価にSM量あるいはSMS活性の測定が有用である可能性を示した点で、臨床的にも重要な成果であると考えられる。
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Report
(3 results)
Research Products
(19 results)