光スイッチ素子へ向けた一次元電子系の超高速非線形光学応答の研究
Project/Area Number |
08J08448
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Mathematical physics/Fundamental condensed matter physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田尾 祥一 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | カーボンナノチューブ / フェムト秒分光 / 非線形光学応答 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(以下NT)は大きな光学非線形性や、チューブ間のエネルギー・電荷移動による超高速緩和といった特徴から光スイッチ材料への応用が期待されている。また、近年NTのチューブ内にフラーレン、有機分子や色素分子を導入しNTの電子状態を変調させる試みが盛んに行われている。本研究では、二層NTにおける励起子・キャリアダイナミクスを超高速分光で明らかにすることを試みた。 二層NTにおけるチューブ間相互作用を明らかにすることで、単層NTで観測される、チューブ間のエネルギー・電荷移動過程に対する基礎的な理解につながる。単層NTでは見られない二層NT特有のバンド構造に由来する光励起状態の緩和過程を明らかにすることにより、二層NTのフォトニクス材料としての応用につながると考えられる。 外側、内側チューブの平均直径が約1.7nm、約1.0nmの二層NTを用い、時間分解能約200fsのポンププローブ分光測定を行った。励起光エネルギーを選択することで、特定のチューブ径のNTを選択的に励起することができる。内側チューブの励起子吸収帯を励起し、それに伴う外側チューブの励起子吸収帯の吸収飽和ダイナミクスを観測した。 まず、内側チューブを励起することで、外側チューブの励起子吸収帯に吸収飽和が観測されることが明らかとなり、チューブ間での励起子の移動が確認された。また、異なる直径の内側チューブを励起すると、外側チューブの吸収飽和のピークエネルギーが変化することも明らかとなった。これらの結果は、内側チューブの直径と外側チューブの直径に相関があることを示している。ダイナミクスの解析から、チューブ間のエネルギー・電荷移動は、0.1ps以内ときわめて高速に起こることも明らかとなった。 これらの結果は、二層NT内でチューブ間の相互作用が働いていることを明らかにしたものであり、単層NTとは異なる光学特性につながるものと期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)