Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
ある刺激に繰り返し接触するだけで,その刺激に対する観察者の好意的評価が増加する現象を単純接触効果と呼ぶ。本年度特別研究員は,選択的注意が単純接触効果に及ぼす影響を検討した。実験は同一の刺激に繰り返し接触する接触段階と,後に接触あるいは新規な刺激の好意度を評定する好意度評定段階から構成された。接触段階では,赤と緑の無意味な線画を重ね合わせて提示し,観察者が注目すべき線画を教示によって操作した。これにより,同一の刺激に対して三つの異なる認識(赤線画,緑線画,赤緑重ね合わせ線画)が可能な状況が設定された。好意度評定段階では,赤または緑線画と形態的に同一,または赤緑重ね合わせ線画と形態的に同一な黒色線画が提示され,好意度の評定が求められた。実験の結果,単純接触効果は接触時に注目するよう求められた線画の形状に対してのみ生じることが明らかにされた。同一の接触回数,接触時間を持つその他の線画については,好意度の増加は認められなかった。特に,赤緑の重ね合わせ線画に同時に注目すべき状況において,赤または緑の線画は後に個別の再認が可能であるほど十分な処理が行われていたにもかかわらず,好意度の増加は認められなかった。これらの結果は,単純接触効果が,注意によって選択された情報に対してのみ生じる可能性を示している。接触経験による好意的評価の増加は,どのような刺激に接触した経験をもつかということではなく,接触した刺激をどのようなものとして認識するか,によって決定されるようである。
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