静電相互作用を利用した球状錯体内部へのアニオン集積とその反応
Project/Area Number |
08J09201
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 貴 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 自己集合 / DNA / ペプチド / ナノ粒子 / 自己組織化 / 水素結合 / 静電相互作用 / π共役系分子 / ポリオキソメタレート |
Research Abstract |
昨年度まで私は、高度な機能を持つポリアニオン分子としてDNAに着目し、自己集合性錯体表面へのDNAの集積、および相補DNA鎖の認識を達成してきた。一方、真核細胞内でDNAは、カチオン性タンパク質であるヒストンに巻きついて多段階に折りたたまれ、その構造と転写活性を制御されている。精密構造を有する人工ポリカチオン性ナノ粒子を用いてDNAを折りたたむことができれば、DNAの転写活性の精密制御を期待できるが、そのような例は知られていない。本年度私は、24価の正電荷を有する自己集合性球状錯体表面をさらに24本のカチオン性ペプチドで修飾し、48価もの正電荷を高密度に有する分子性ナノ粒子として利用することで、DNAの構造制御を試みた。 折れ曲がりの外側に正味1価の正電荷を有する6残基のペプチド(Ac-Arg-Lys-Leu-Pro-Asp-Ala-)を連結した二座配位子とPd(II)イオンから、表面に24本のペプチド鎖を有する球状錯体を定量的に得た。錯体の構造は各種NMRの解析により同定した。得られた錯体は、直径3.5nmの単一の球状骨格上に+1.25nm^<-2>という高い表面電荷密度を有し、効率的なDNAの折りたたみが期待できる。 4363塩基対の環状DNAであるプラスミドpBR322の水溶液(0.75ng・μL^<-1>)に対し、得られた錯体の希釈水溶液を、電荷比1:0.9となるように加え、室温で10分間静置することで、DNAと錯体の複合体形成を行った。複合体溶液10μLをマイカ基板上に滴下し、乾燥させた後AFM観察したところ、剛直なDNA鎖にカチオン性錯体がランダムに結合している様子が見られた。錯体の当量を電荷比1:9まで増加させると、直径40-50nmの均一な粒子が多数観測された。この粒子はそれぞれ1分子のDNAを含むと考えられる。以上のことから、カチオン性球状錯体によってDNA分子が中間的な状態を経てコンパクトに折りたたまれることがわかった。このようなDNAの段階的折りたたみ挙動はヒストン類似の特異なものであることから、DNAはポリカチオン性の錯体表面に巻きつくことによって折りたたまれたものと考えられる。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)