変分モンテカルロ法とガウス基底モンテカルロ法の革新によるモット転移と相競合の研究
Project/Area Number |
08J09438
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田原 大資 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 強相関電子系 / 変分モンテカルロ法 / 量子数射影法 / ハバード模型 / モット転移 / 変分波動関数 / 大規模数値計算 |
Research Abstract |
【学術研究の実施内容と学術研究業務遂行経過】 本研究では「複雑に相互作用し合う多体電子系を高精度にシミュレートする計算手法を開発し、具体的な物質に即した物性予測を可能にすること」を目標とし、以下の研究を遂行しました。 [多体電子模型の数値計算手法の開発-高精度な多変数最適化変分モンテカルロ法の開発] 変分モンテカルロ法は複数のパラメータをもつ試行関数を統計的に取り扱うことで、多体電子模型をシミュレートする方法です。多体相互作用に伴う量子ゆらぎが顕著となり興味深い物理現象が発現する領域では、「長距離ゆらぎ」と共に「短距離ゆらぎ」を精度良く記述した試行関数を用意する必要があります。私はこの課題を解決するため、試行関数の基礎部分となる「一体波動関数」を拡張し、系のサイズにスケールして自由度が高まる変分パラメータを導入しました。そして、Sorellaらによる「多変数Gutzwiller-Jastrow因子」を用いた拡張と組み合わせることで、高精度な試行波動関数を構築しました。この拡張に加え、波動関数の対称性(量子数)を制御する量子数射影法を組み合わせることで、正方格子ハバード模型の基底状態計算を行い、大幅な精度の向上を確認しました。(例.16サイトの相対誤差:[従来]2.7%[本研究]0.55%) [開発した数値計算手法の具体的応用] 上記の数値計算手法を二次元ハバード模型に適用し、モット転移の研究を行いました。そして、長距離秩序がなく相関の強い金属状態という変分モンテカルロ法が最も苦手とする領域において信頼性のある高精度な変分波動関数を得ることに成功しました。また、モット転移近傍の金属相では電子の振舞いが波数空間で分化し、「アーク構造」や「電子ポケット」という特徴的な構造が現れることを見出しました。現在、物質に即した物性予測を目標として、超伝導や金属絶縁体転移を示す有機伝導体κ-(BEDT-TTF)塩の研究を遂行しております。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)