Project/Area Number |
08J10079
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Economic statistics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 慎 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2008: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | Realized Volatility / Realized Range-Based Volatility / 高頻度データ / ARFIMAモデル / UCモデル / バイアス修正 / マルコフ連鎖モンテカルロ / Value at Risk |
Research Abstract |
ボラティリティは金融資産収益率の分散または標準偏差として定義され、投資のリスク評価などに必要不可欠な重要な変数である。近年注目を集めているボラティリティの有効な推定量が、日内収益率の2乗和として計算されるRealized Volatility(RV)と日内レンジ(ある期間の最大値と最小値の差)の2乗和から計算されるRealized Range-Based Volatility(RRV)である。今年度は、東京証券取引所株価指数(TOPIX)の取引価格が1分毎に記録された高頻度データを用いてボラティリティの変動特性を分析した。 まず、RVとRRVの時系列構造を捉えるためによく用いられるAutoregressive Fractionally Integrated Moving Average(ARFIMA)モデルと、実証研究ではあまり用いられていないUnobserved Components(UC)モデルについて、データへの適合度とボラティリティ予測のパフォーマンスを様々な指標により評価・比較した。その結果、全体的にARFIMAモデルとUCモデルのパフォーマンスの差異はわずかであるが、わずかにARFIMAモデルが優れていることが示された。これによりUCモデルの更なる分析の必要性が確認され、今後の研究の指針が示された。この結果に基づいた論文を和文学術雑誌「現代ファイナンス」に再投稿中である。 次に、受入研究者の大森裕准教授と一橋大学経済研究所の渡部敏明教授との共同研究において、RVを定式化する新たなモデルを提案した。このモデルは日次収益率とRVを同時に用いることにより、市場の取引制度に起因するノイズによって生じるRVのバイアスを修正し、ボラティリティのより精確な推定量を得ることができる。また、マルコフ連鎖モンテカル口法を用いたこのモデルの効率的な推定法を提案した。この推定法により、モデルのパラメータを推定すると同時に、日次収益率の分布を推定・予測することができる。この予測分布から投資のリスク指標として世界的に広く用いられているValue at Risk(VaR)を容易に計算することができるので、実務においても有用なモデルであると考えられる。この結果をまとめた論文を英文学術雑誌「Computational Statistics and Data Analysis」に再投稿中である。
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