英国王政復古期から18世紀中期のジョン・ウェブスター改作劇における女性表象
Project/Area Number |
08J10099
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
ヨーロッパ語系文学
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
撫原 華子 Tokyo Woman's Christian University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2009: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2008: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 改作劇 / ジョン・ウェブスター / 暴力表象 / ネイハム・テイト / 18世紀 / イギリス / 女性表象 / ルイス・ティボルト |
Research Abstract |
本年度は、18世紀初頭のジョン・ウェブスター改作劇を通じて、当時の劇場において女性観客が持っていた影響力の一端を浮かび上がらせることを目指した。中心として取り上げた劇は、ネイハム・テイト(1652-1715)作Injur'd Love ; or, The Cruel Husbandである。この劇は、イギリス演劇史上、女性を主人公に据えたごく初期の作家であるウェブスターの悲劇The White Devilの改作であり、1707年に初版が出版されている。 この改作において、改作者テイトは原作には描かれていた暴力的描写を排除するか、緩和された形に書き換えている。本年度の研究では、女性観客の嗜好がその書き換えに影響した可能性を検証した。具体的には、このテイトによるウェブスター改作劇とその原作との異同を分析することから始め、そこに表象されている女性像の変容について、ひいてはその変容の社会的、演劇的背景、および女性をめぐる当時の言説が改作に及ぼした影響について考察した。 その考察をする際、特に軸としたのは以下の点についてである。 (1)Tateによる改作において暴力描写が排除あるいは緩和されていることが「女性観客の好み」に沿った結果であるとするならば、その裏には男性側の(あるいは当時の文化全体の)意図とはどのようなものだったのだろうか。 (2)18世紀初期に、女性作家が暴力を描いた劇が(少ないながらも)存在することは何を意味しているのか。 (3)ウェブスター改作受容史全体における暴力表象の変遷。17世紀から21世紀までの各時代性と、暴力表象の削減あるいは強調はいかに関わるか。 以上の点を軸としながら、18世紀初めの男と女の間に存在していたせめぎ合いの状態について議論し、当時劇作家が作品を創作する際に女性観客が大きな影響を及ぼしていた可能性について探った。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)